収入印紙、貼るかどうか?

日本には多くの「税」がありますが、「印紙税」もその一つです。「印紙税法」という法律によって課税されています。
第2条で「課税文書には印紙税を課する」とあります。

では、「課税文書」とは何でしょうか?
① 契約書や領収書などの定められた20種類の文書
② 課税事項*を証明する目的で定められた文書
③ 国や地方団体などが作成したもの以外
*課税事項とは、たとえば「請負契約書」における「請負」などを指します。

①の20種類の文書に関する収入印紙の金額は、『印紙税額表』でご確認ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf
②は、たとえば「契約書」という名称でなくても、それに準じるものであれば必要だということです。
たまに「『覚書』にしておくと印紙税かからないよ!」と言っている人がいますが誤りです。内容によって判断されるため、「念書」「同意書」「確認書」なども同じです。
③については、国等と契約した場合のことですが、注意していただきたいのは、「国等が作成したものは非課税」ですが、「国等以外が作成したものは課税」ということです。たとえば、東京都と当社(一般企業)の契約であれば、東京都が作成したもの→当社で保管、当社で作成したもの→東京都が保管、となるので、東京都に渡すものにはやはり当社が印紙を貼付しなければなりません。

契約書の収入印紙は、一般的には双方で1枚分ずつ負担します。
印紙税を節約するテクニックとして、「契約書」ではなく「注文書に対する『注文請書』」として、請書の方にだけ印紙を貼るというケースがみられます。また、契約書の原本を1部だけ作成して、相手方にはコピーを渡す、というような形をとることもあるようです。
いずれも1部にしか貼付しないため、通常の半分で済むということになります。

ところで、印紙税というのは、とても形式的なものです。
たとえば、「国内で双方が署名したら印紙税が必要だけれど、旅行先のハワイで社長がサインをしたら不要**」です。
また、「紙での契約書はもちろん課税、そして板切れにペンキで契約内容を書いても課税」と解釈されている一方、PDFでの保管やメール添付文書など電子での記録では不要です。それは「収入印紙を貼るところがないから」だと言われています。
つまり、「フロッピーディスク(古いですね!笑)内に保存されている契約書には印紙は不要だけれど、ディスクの表面にマジックで書かれたものには貼付が必要」ということになります。
**契約書という課税文書の作成、つまり「契約」の成立は、双方が合意し終えたときになりますので、相手方の署名がされているものにハワイで社長がサインするのであれば上記の通り不要です。しかし、ハワイの社長のあと、相手方が日本国内で捺印等した場合には、国内での文書作成となるため課税となります。

新型コロナ感染症の影響でリモートワークが急速に拡がっていることで、「ハンコ文化」についての批判がありましたが、デジタル化に伴って、印紙税の税収も減っていくのではないでしょうか。

その他、自然災害による非課税の措置も取られています。
一定の場合には、災害によって被災した建物の立替にかかる契約書などへの印紙税が不要となります。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/inshi_2904.pdf

<参考>国税庁ウェブサイト
「課税文書に該当するかどうかの判断」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7100.htm
「外国で作成される文書」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/06/02.htm
「電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」
https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/bunshokaito/inshi_sonota/081024/02.htm

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