源泉徴収が必要な取引
「源泉徴収」はみなさんご存じですね?
サラリーマンの方がお給料から天引き*されるアレです。
フリーランスの方も、収入の種類によっては請求金額が満額支払われないことがありますよね。おそらく差額は「源泉所得税」です。
サラリーマンとして会社から天引きされ、年末調整で完結するものについては、確定申告義務がない場合には特にやることはありません。フリーランスも自分の確定申告をして終わりです。
しかし起業すると「源泉徴収義務」が発生します。天引きされるのではなく天引きする側の立場になります。
国税庁ウェブサイトによると、「会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税(所得税等)を差し引くことになっています。そして、差し引いた所得税等は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。この所得税等を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます」とあります。
弁護士報酬等以外にも、個人に対する原稿や講演料、デザイン料などの支払については、源泉徴収が必要です。
源泉所得税は、原則は消費税を含めた総額に対して徴収べきとされていますが、消費税の額が明記されている場合には本体価格をもとに算出することもできます(つまり消費税に対応する分だけ源泉税額が少なくてすみます)。
所得税及び復興特別所得税の税率は、現在10.21%です。
たとえば外部の方に1万円のお仕事をお願いして、それが源泉徴収が必要なものだった場合には、
10,000×10.21%=1,021円を差し引いた、残り8,979円を振込することになります。
もし「1万円を振り込んであげたい」と思ったときは、逆算して
10,000÷89.79%=11,137円を請求額面にして、11,137×10.21%=1,137円を源泉徴収することになります(切り捨て・切り上げの端数処理にご注意を!)。また、消費税を加味しての計算となるとさらに複雑になります。
徴収した源泉所得税は、上記の通り原則翌月10日までに納付する義務がありますが、「納期の特例」の承認を得ている場合には、給与等に係るものについては、毎年1月と7月にまとめて納付することもできます(給与の支払が常時10人未満の場合)。
なお、原稿料や講演料などには納期の特例は適用されませんのでご注意ください。
<参考>国税庁ウェブサイト
「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
「原稿等の報酬又は料金(第1号関係)」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/36/02.htm
*サラリーマンの天引きには、源泉所得税の他、社会保険料(健保・介護保険・厚生年金・雇用保険)や住民税、その他会社の規定による財形貯蓄や〇〇積立金というものが含まれる場合があります。
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