設備投資と消費税

わたしのクライアントには、スタートアップや小規模企業で消費税に関して「免税事業者」となっているところが多くあります。
免税事業者とは「基準期間における課税売上高が1千万円以下」の個人や会社です。基準期間というのは、2期前のことを指しますので、経常的に売上が1千万円を超えない会社や、スタートアップで2期前が存在しない会社(つまり開業から2年間)であれば消費税が免除されます。

これ「免除」制度なのであえて「課税事業者」になることもできます。
「え?免除されてるもんをなんでわざわざ課税されなあかんねん!」と思われるかもしれませんが、これからお話しするような大きな設備投資をされる場合には、そのままだと逆に還付の可能性を逃すケースがあるのです。

たとえば土地付の店舗を購入する場合、土地は非課税ですが建物は10%課税です。そしてたとえば購入代金(税抜)が4千万円で、そのうち建物代金が2千万円だったら2百万円の消費税を払うことになります。
そして仮に来期の売上見込みが6百万円(税込660万円)で、(そんなことはありえませんがこれも仮に)その他の経費が何もなかったとしたら、
仮受消費税 60万円
仮払消費税 200万円
となり、差額140万円が還付されるのです。
これは、「課税事業者」の場合の計算ですが、もし「免税事業者」のままだと、仮払消費税(つまり消費税をマイナスする効果)の200万円を放棄することになってしまうのです。

したがって、近い将来大きな設備投資をする可能性がある場合には、「消費税課税事業者選択届出」の検討をされることをお勧めします。
ただしこれは、いったん提出すると3年間は免税に戻れないことや、他の要因も絡んでくるため、投資する=課税事業者が絶対お得、だということにはなりません。そして、届出の提出期限は、対象期間の初日の前日まで、つまりたとえば3月末決算の会社であれば、その購入等をする事業年度が始まる前日の3/31までに提出する必要があることにも留意が必要です。急に「今月末買うから課税事業者に!」というのは認められません。笑

個別の案件については、顧問税理士さんなどにご相談のうえ、慎重に判断されることをお勧めします。
<参考>国税庁ウェブサイト
「納税義務の免除」(消費税)
「消費税課税事業者選択届出」