売上計上基準(入門編)

2021年に収益認識基準が大きく変更されますが*、今回はそのことではなく、売上計上について初歩の初歩をお話しします。

お客さまにサービスの提供をしてお支払いをいただいたら、当たり前ですが会計帳簿に記入しなければなりません。
その際、どのタイミングでどのように仕訳をするか?

現金と引き換えに商品を納入するのであれば、【現預金/売上】でOKです。
しかし、多くの場合は入金までに時間がかかります。
その場合は、サービス提供時に【売掛金/売上】、入金時に【現預金/売掛金】という2本の仕訳になります。

決算期末をまたぐ場合には特に注意が必要です。たとえば、3月決算の会社で3月31日に100円の商品を納入し、その入金が4月30日にあった場合には、
3/31 売掛金 100円 / 売上  100円
4/30 現預金 100円 / 売掛金 100円
として、3月決算で100円の売上を計上しなければなりません。4/30の入金時に【現預金/売上】としてしまった場合には、税務上「売上計上もれ」となり追徴されます。

逆に、3月31日にお金を先払いでいただいたけれど、納品が3月末に間に合わず4月1日になってしまった、という場合には、
3/31 現預金 100円 / 前受収益 100円
4/1  前受収益100円 / 売上   100円
となります。現金を先にもらってはいるものの、この分の売上は翌期の計上となり、それに対応する税金も翌期分として支払うことになります。

さらに毎月のサービス提供について、たとえば「1年分前払いしとくよ!」という場合には、上記の応用パターンで、
3/31 現預金 1,200円 / 前受収益 1,200円
4/30 前受収益 100円 / 売上   100円
5/31 前受収益 100円 / 売上   100円
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3/31 前受収益 100円 / 売上   100円
のように毎月売上計上をしていくことになります。

「売上計上」は、あくまでサービスの提供をした(納品をした、稼働をした)時点で行わなければなりません。

小規模企業であれば、はっきり言って、期中の取引であれば現金ベース【現預金/売上】で仕訳をしていてもかまいません。上記の前払収益の取崩しも4月や期末に一括で行っても税務上は問題ありません。

とはいえ、普段現金ベースで処理して、期末だけ特別な対応をするというのは、存外忘れてしまうことも多いものです。ですのでわたしは、クライアントさまには、毎月原則通りに仕訳をすることをアドバイスさせていただいています。
ご不明なことがあればお気軽にご相談ください。

*企業会計基準委員会 『収益認識に関する会計基準』
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/20180330_02.pdf