インボイス制度 -免税33万円と税込33万円の違い

今回は、2023年10月からのインボイス制度によって、同じ金額の支払い(キャッシュアウト)であっても課税事業者にとっては納税額がこれくらい増えますよ、という簡単な説明をします。
ときどき「インボイス制度言うても、支払う金額が同じやったらそんなに変わらんのとちゃうの?」のようにおっしゃる社長さんがいますが、適格 or 非適格ではこんなに違うのです。
※最後に「経過措置」にもふれていますが、本コラムは原則的な取り扱いについての説明であることをご了承ください。

たとえば、契約書での月額報酬が30万円、これまで消費税込で計33万円の請求があったとします。
⁃ 9月までは免税事業者であっても 報酬30、仮払消費税3と計上しました
⁃ しかし10月からは、免税事業者との取引では報酬33、仮払消費税0となります

仮定として、この会社の取引が外部への売上110万円(税込)と、この33万円の支払いしかなかったとします
そうすると、9月までは
- 利益は100-30=70万円
- 納める消費税は、「売上100に対する10」から「仕入30に対する3」を差し引いた7万円
でした。

対して10月からは
⁃ 利益は 100-33=67 と3万円減り
⁃ 納める消費税は 10-0=10 と3万円増えてしまいます。
となります。

「え、利益減って消費税増えるって!?それはアカン!」となりますが、この例では逆に税金が減る影響もあります。
法人税等の税率を仮に利益に対して30%とした場合には、
⁃ 9月まで 70×30%=21万円
⁃ 10月から 67x30%=20.1万円
となり、法人+消費税合計で考えると
⁃ 9月まで 21+7=28
⁃ 10月から 20.1+10=30.1
となり、法人+消費税の負担は30.1-28=2.1万円増となります。

2.1万円 x 12ヶ月換算で25万円税金を多く納めるという差は。。。月30万円/年360万円の取引に対してはかなりインパクト大なのではないでしょうか。
さらに、上記の例では法人税のマイナス効果を加味しましたが、もし赤字会社だったら消費税の増額分がダイレクトにきます。

ということで以上、免税業者(非登録事業者)さんとのお取引・契約変更については慎重にご検討ください、という内容でした。

ただし、こういった課税事業者側の負担軽減のための経過措置があります。
詳細は別コラムに譲りますが、免税事業者との取引について、3年間は80%、その後3年間は50%の仕入税額控除が認められるというものです。
<参考>国税庁ウェブサイト「免税事業者からの仕入れに係る経過措置
先の例ですと、報酬30万円に対する消費税3万円について、3年間は
3万x80%=24,000円の仕入税額控除となりますので、納税額は100,000-24,000=76,000円です。
従来の消費税7万円よりは多くなりますが、上記計算の10月以降10万円よりはかなり負担減ですね。ありがたい✨✨