法人決算に際しての注意事項

月次決算で毎月きちんとレポートしている場合はあまり心配ないと思いますが、それでも次のような点は決算時に改めて確認しておいた方が良いでしょう。
今日は「ついうっかり」で税務調査で指摘を受けないための、本決算でのいくつかのポイントをお伝えします。

◆売上計上もれ
これは重罪です!決算期末までに納品した売上については、たとえ請求が翌期以降であっても当期内に計上する必要があります。
逆にクライアントから前払いしてもらった翌期納品分については、翌期の売上になるため期末に調整します。

◆経費計上もれまたは過大計上
売上同様に、当期分の経費は当期に、翌期分の経費は翌期に正しく計上する必要があります。
期末ギリギリに納品されて請求書がなかなか届かないようなものは早めに催促を。
また逆に、外注さんに前払いしているコストを当期に計上してしまっていたら期末に調整します。

◆商品等のたな卸しを忘れずに
売上に対応する売上原価となるもので期末に在庫が残っているものは、たな卸しをして翌期に繰越しをします。たな卸しをした実残高と帳簿との差は棚卸減耗損として計上します。

◆期末にたくさんの切手や印紙、事務用品などは購入していませんか?
継続的に購入しているもので、たまたまそのタイミングで在庫が切れた、というような場合は問題ありませんが、「期末月にクリアファイル1,000枚納品」とか、恣意的ではなくてもそういった発注は要注意です。期末に大量在庫が残っている印刷物や事務用品などがあれば「貯蔵品」として計上し、翌期に繰延べます。
また、金券類(切手、印紙、amazonギフトカード等)は、期末には現金同様に実査が必要です。

◆見積計上している経費で債務が確定していないものについては税務調整が必要
前記の通り、当期の経費を正しく当期に計上する必要はあるものの、それが社内の見積計上などであった場合には「債務が確定していない」とみなされ、税務調査等の際に否認される可能性があります。

◆この他、交際費寄付金役員報酬・賞与等は、法人税申告書上特別な記載が必要なアイテムです。それぞれの勘定科目にきちんと計上されていれば問題ありませんが、何か気になるものがあれば顧問税理士さんに相談してください。

(まとめ)
「売上が少ない or 経費が多い」=税金が減る影響があるため、税務調査ではここが特にチェックされるポイントです。
つまり上記の中では、売上計上もれ、経費過大計上、大量在庫、債務未確定経費がこれに当たります。逆に「売上が多い or 経費が少ない」=税金が増える影響、なのでこちらはあまり指摘が入ることはないでしょう。

もちろん、会計上正しい記帳がされていることが税務申告の大前提ではあるのですが、これらの点を少しだけ心に留めておけば、期末に「計上/調整しなければならない」のかそれとも「計上/調整しといたほうがええのか」の判断が容易になると思います。

決算に際しての会計処理や税務について、何か不安な点等あれば顧問税理士さんにご相談されるようお願いします。